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千葉地方裁判所 昭和59年(わ)157号 判決 1984年7月30日

本籍

千葉県印旛郡本埜村大字將監三五〇番地

住居

右同所

会社役員

小林三好

大正一二年一月二日生

被告事件名

所得税法違反

出席検察官

野崎守

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金四、七〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、千葉県印旛郡本埜村大字將監三五〇番地において、千成餠本舗南工場の名称(昭和五六年七月までは、小林信善と共同経営で千成餠本舗の名称を使用)で切餠の製造、販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上収入の一部除外、仕入れ価額の水増し、架空仕入れの計上等の方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五六年分の実際総所得金額が八、八〇〇万三、〇三九円で、これに対する正規の所得税額が五、〇八五万八、九〇〇円であったのにかかわらず、昭和五七年三月一五日、千葉県成田市花崎町八一二の一二番地所在成田税務署において、同税務署長に対し、昭和五六年分の総所得金額が一、〇九七万五、九九五円で、これに対する所得税額が二五三万二、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額四、八三二万六、七〇〇円を免れ、

第二  昭和五七年分の実際総所得金額が二億一、二二三万四、七八七円で、これに対する正規の所得税額が一億四、三九八万三、四〇〇円であったのにかかわらず、昭和五八年三月一五日、右成田税務署において、同税務署長に対し、昭和五七年分の総所得金額が一、五二一万二、四九六円で、これに対する所得税額が四四三万七、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額一億三、九五四万六、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調査三通及び大蔵事務官に対する質問てん末書一〇通

一  岩井キクエの検察官に対する供述調書二通(但し、昭和五九年二月一五日付調書中の三項以下のうち、符一三、同一六を示しての問答部分を除いた部分を除く)

一  岡田邦彦の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書

一  石渡敏夫の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書

一  小林敬子の検察官に対する供述調書

一  小林信善の検察官に対する供述調書謄本二通及び大蔵事務官に対する質問てん末書騰本三通

一  大貫勝教の検察官に対する供述調書謄本

一  大蔵事務官作成の調査書四二通及び検査てん末書

一  検察事務官作成の報告書五通

一  国税査察官作成の報告書

一  押収してある所得税確定申告書(昭和五六年度分)一枚(昭和五九年押第一〇〇号の1)、同所得税確定申告書(昭和五七年度分)一枚(同号の2)、同青色申告決算書(昭和五六年度分)二綴(同号の3)、同青色申告決算書(昭和五七年度分)一綴(同号の4)、同買掛帳一冊(同号の5)、同一冊(同号の6)

(適用法令)

一  判示各所為 いずれも所得税法二三八条一項

一  刑種の選択 いずれも懲役刑、罰金刑併科(罰金額については所得税法二三八条二項を適用)

一  併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(懲役刑につき犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)刑法四八条二項(罰金刑につき)

一  労役場留置 刑法一八条三項

一  執行猶予 刑法二五条一項(懲役刑のみにつき)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 沼里豊滋)

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